ティコの黒い石板
The black slab in Tycho

映画『2001年宇宙の旅』(1968年)では、ティコ・クレーターで謎の黒い石板が掘り出されます。本物のティコは明るい光条をもつ若いクレーターで、満月なら肉眼でも見えます。
3Dの月で見る →ひと目でわかる
- 場所
- ティコ・クレーター(映画へのオマージュ)
- 🎬 映画
- 2001年宇宙の旅(1968年)
- ⭕ 大きさ
- ティコ・クレーター:直径約85km
- 座標
- 43.30°S 11.20°W
- 種類
- 物語
ティコは、月でとくに目をひくクレーターのひとつです。南の高地にあり、さしわたし約85km、深さ約4.7kmで、デンマークの天文学者ティコ・ブラーエにちなんで名づけられています。満月のころには、「光条」とよばれる明るいすじがあらゆる方向に広がり、約1,500kmまでとどくものもあります。ティコとその光条は望遠鏡がなくても見つけられ、双眼鏡を使うともっとはっきり見えます。
ティコは映画でも有名です。1968年のSFの名作『2001年宇宙の旅』では、たんけん者たちが、このクレーターにうまっていた「モノリス」というなぞの黒い石板をほり出します。3Dの月の黒い石板は、そのアイデアへのちょっとしたオマージュです。石板はつくりものですが、クレーター、その光条、その年れいは本物の科学です。
若いクレーター
ティコは、約1億800万〜1億1000万年前に、小惑星か彗星が月にぶつかってできました。古く聞こえますが、月にとっては若いのです。古いクレーターはすりへったり、新しい衝突でおおわれたりしますが、ティコには今もするどいふちと急なかべがあります。明るい光条は、衝突でとびちった新しい物質でできているので、とても明るく目立つのです。
まん中の山々
ティコのまん中には、はば約15kmの山の集まりがそびえています。これは、衝突のあと地面が上へはね返ってできたもので、池の水しぶきがそのまま岩でかたまったようなものです。2011年、NASAのルナー・リコネサンス・オービターが体をかたむけて、日の出のときのこの山々の写真をとり、その迫力のある写真は「アートとしての月」のコンテストで優勝しました。それより前の1968年1月には、ロボットの着陸機サーベイヤー7号が、クレーターのすぐ北に着陸しました。
映画のアイデア
『2001年宇宙の旅』は、スタンリー・キューブリックが監督し、SF作家アーサー・C・クラークといっしょに脚本を書きました。物語では、ティコで見つかったモノリスは約400万年前にそこにうめられたもので、ずっと昔にだれかほかの者が訪れたしるしでした。この映画は、当時としてはとても本物らしく宇宙飛行をえがいたことで高く評価され、視覚効果でアカデミー賞を受けました。本物のモノリスが月で見つかったことは一度もありません。
おもしろ豆知識
- ティコの明るい光条は、月の上を約1,500kmもこえてのびています。
- 満月のときには、ティコの光条は双眼鏡や小さな望遠鏡でかんたんに見えます。
- 日の出のときのティコのまん中の山々をとったNASAの写真は、「アートとしての月」のコンテストで優勝しました。
- 映画『2001年宇宙の旅』は視覚効果でアカデミー賞を受け、それは監督スタンリー・キューブリックがとったただひとつのアカデミー賞でした。
3Dの月では
3Dの月では、映画へのオマージュとして、表側の南の部分にあるティコ・クレーターに黒い石板を見つけられます。カードを開いて、本物の若いクレーターと明るい光条について読んでみましょう。
月のほかの場所
参考資料
- ウィキペディアでもっと読む
- Tycho (lunar crater) — Wikipedia
- Hyperwall: Tycho Central Peak — NASA Scientific Visualization Studio
- 2001: A Space Odyssey — Wikipedia
更新: 2026-10-19





